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トイレの便器内部に尿石が出来てしまうと、何をやっても全然落ちないことがよくあります。
洗剤をかけてどれだけこすっても取ることが出来ないこの尿石は、トイレ掃除の天敵です。
毎日お掃除すれば問題ないのですが、ついさぼってしまうと気付いた時には落とせなくなっています。
このページではハウスクリーニングのプロが「トイレ便器の尿石」をお掃除する方法を紹介します。

尿石とは、尿に含まれているタンパク質が細菌の働きによって分解され、カルシウムイオンが結晶化して便器に付着したものです。
尿石は、付着すると石のように固くなり、どれだけ洗剤をかけてこすっても簡単には除去できません。
トイレの悪臭の最大の原因になるだけではなく、配水管を詰まらせる原因にもなります。
さらに、細菌の繁殖を促し、汚れが付着しやすい状況まで作り出します。

歯に付いた歯石は歯ブラシでは除去できず、歯医者さんに通って取ってもらうように、尿石も通常のやり方では除去することは出来ません。
尿石を溶かす塩酸系の尿石除去剤を使用して取り除く必要があります。

尿石はカルシウムイオンが結晶化して便器に付着したもので、アルカリ性の汚れです。
アルカリ性の汚れに対しては、酸性の洗剤を使用して中和して落とすことが基本となります。
ですが、尿石は固着してカチカチに固まってしまうと、洗剤の力だけでは除去することが難しく、物理的に削り落とす以外には除去することが出来なくなってしまいます。


① 尿石除去剤で溶かして落とす

軽度のトイレの便器内部の尿石に対しては尿石除去剤が有効です。
もっと軽度の尿性であれば、市販のサンポールなどの塩酸入りの洗剤で落とすことも出来ます。

ハウスクリーニングのプロは、業務用の尿石除去剤を使用して除去するのですが、業務用の尿石除去剤は塩酸の濃度が高いために「医薬用外劇物」に指定されていて、劇物の流通を記録するために、購入者の氏名・住所・職業を記入することが法律で規定されています。
また、盗難・紛失などの事故を防止するため、劇物は鍵のかかる保管庫で保管する必要があります。

一般の家庭でそんな劇物を取り扱うのはリスクが高いので、一般の家庭では業務用をマイルドにしたタイプの家庭用尿石除去剤がおすすめです。
もちろん劇物に指定されている業務用の尿石除去剤に比べれば洗浄力は弱いですが、それでも取り扱いには十分な注意が必要で、十分な洗浄力もあります。
便器内に水が入っている状態では、水で薄まって尿石除去剤の効果が出にくくなりますので、灯油用の手動ポンプや紙コップなどを使って便器内の水を抜いてから尿石除去剤をかけるのがポイントです。
さらにラップなどで蓋をしてあげると、排水管からの嫌な臭いや、尿石を溶かす時の嫌な臭いが、トイレ内に充満することを防ぐことが出来ます。


② 物理的にこそぎ落とす

尿石は強度なものにになると尿石除去剤を使用しても溶かせません。
塩酸を投入する手もありますが、塩酸は劇物であり、おすすめ出来るものではありません。
尿石除去剤で溶かせない尿石は、物理的にこそぎ落とす以外にありませんが、トイレの便器は陶器製のため、金属製のノミやマイナスドライバーなどで削ればキズが付いてしまいます。

そのため、ハウスクリーニングのプロは、ポリッシュバーを使用して尿石をこそぎ落とします。
ポリッシュバーとは、陶器が持つ硬さ（モース硬度）よりもほんの少しだけ柔らかく設計された陶器専用の清掃資材で、特殊な先端樹脂が陶器の黒ずみや水アカ、尿石などをこすり落とします。
陶器よりも少しだけ柔らかく設計されているため、便器にキズが付きづらく、尿石をガリガリ削っていくことが出来ます。
ただし、水に圧力をかけて噴射することで鉄や岩を切断する高圧水駆動カッター（ウォータージェット）などもあるように、モース硬度が低い物質でモース硬度が高い物質をキズ付ける事が出来ないわけではありません。
陶器より少しだけ柔らかく設計されているポリッシュバーとはいえ、力の入れ過ぎは陶器にキズを付けることにもなりかねませんので注意が必要です。