冬の寒さ対策に活躍してくれる暖房器具は、現代社会では絶対に欠かせないものです。
エアコン、石油ストーブ、電気ヒーター、こたつ、床暖房など、いろいろある暖房器具の中で最も効率が良いのはどれでしょうか?
単純にランニングコストだけを考えた場合、一番安いのは「こたつ」ということになりますし、電気ヒーターなども足元だけを暖める目的であれば安く使うことが出来ます。
ですが、こたつや電気ヒーターでは部屋全体を暖めることは出来ませんし、使用電力(料金)に対して得られる熱量が少ないため、効率的な暖房器具とは言えません。
このページでは、どの暖房器具が一番効率的でランニングコストが安いのかを考えてみたいと思います。
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一番効率的な暖房器具とは?
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エアコンについて紹介しています。
暖房に使うエネルギーの種類
暖房に使うエネルギーには、電気、灯油、ガスの3種類があります。
それぞれのエネルギーには決まった熱量(Kcal)があり、基本的にそれ以上の熱量は生み出せません。
● 電気 1kWh … 860kcal ● 灯油 1L … 8771kcal ● ガス 1m³ … 9818kcal (都市ガスの場合) |
灯油1リットルは、電気1kWhに比べるとおおよそ10倍の熱量(Kcal)を持っています。
ただし、1kWhと1Lと1m³を比較しても意味が無いので100円あたりの熱量を計算してみます。
単位あたりの熱量 | 単位あたりの価格 | 100円あたりの熱量 | |
灯油 | 1L … 8771kcal | 93円 /L | 9431kcal |
都市ガス (A表) | 1m³ … 9818kcal | 165.78円 /m³ | 5922kcal |
都市ガス (B表) | 1m³ … 9818kcal | 151.74円 /m³ | 6470kcal |
電気 (第1段階) | 1kWh … 860kcal | 19.43円 /kWh | 4426kcal |
電気 (第2段階) | 1kWh … 860kcal | 25.91円 /kWh | 3319kcal |
※ 灯油料金は、東京都の平均店頭販売価格(2015年4月)。
※ 都市ガス料金は、東京ガスの基準単位料金(2015年4月)。A表はガス使用量20m³まで。
※ 電気料金は、東京電力・従量電灯B契約の電力量料金(2015年4月)。第1段階は最初の120kWhまで。
※ 都市ガスと電気は、従量課金以外に基本料金も必要です。※この表は基本料金を含みません。
※ 2015年4月の計算です。灯油やガスの料金は常に変動してます。
上の表のように、比較すると灯油が一番効率が良く、現在の料金比較では電気の2倍以上効率的です。
電気ストーブなどが電気料金が高いわりに暖まらないのはこのためです。
電気ヒーター式床暖房のランニングコストがとても高いのもこのためです。
こたつや電気カーペット、電気ストーブやハロゲンヒーターなどの電気暖房機器は、限られた空間を暖める目的であれば使い勝手はいいのですが、効率的な暖房器具かと問われれば、使用電力(料金)に対して得られる熱量が少ないために非効率であると言えます。
電気暖房機器単体で使用するならばランニングコストは安く済む可能性もありますが、他の暖房器具と併用するのであれば、はっきり言って非効率だと言わざる得ません。
暖房料金を節約するためには、暖房器具は一つで充分な温もりを得られるものを選ぶ必要があり、暖房器具の併用は暖房料金が高くなる一番の原因になります。
電気の弱点を補うヒートポンプ技術
電気、灯油、ガスなどのエネルギーは、基本的には決まった熱量以上を生み出すことは出来ませんが、電気は、ヒートポンプ技術でそのまま使う以上の熱を生み出すことが出来ます。
その技術を使っているのがエアコンや冷蔵庫、ヒートポンプ式給湯器などです。
エアコンは、電気を熱に直接替えるのではなく、電力を使ってガスを圧縮して熱にするという技術を使うため、電気が持つ熱量以上の熱を生み出すことが可能です。
エアコンの機種にもよりますが、最新の上位機種ではなんと5倍以上のエネルギー消費効率にもなります。
つまり、電気が持つ熱量の5倍以上の熱を作れるため、石油よりも効率良く部屋を暖めることが可能です。
エネルギー別に比較すると、暖房器具にとって最も非効率なエネルギーが電気でしたが、ヒートポンプ技術の登場とエアコンのエネルギー消費効率の上昇により、現在では最も効率的なエネルギーとも言えます。
気密性に優れたサッシ窓等が採用された建物では暖房時に必要な電力が極めて少なく済みます。
外気温7度までならエアコンが最も効率的
結論としては、最近のエアコン(特に、エネルギー消費効率が高い上位機種)が最も効率的でランニングコストも安い暖房器具と言えます。
ランニングコストの安さでは蓄熱式暖房機もエアコンと同じくらいですが、深夜電力を利用して電気料金を安くしているだけで、電力自体はエアコンに比べてかなり多く使いますので、効率的という部分ではエアコンには全く敵いません。(ヒートポンプ技術を使った蓄熱式暖房機はエアコンよりも効率的ですが、導入コストが高いために現状ではあまり普及していません)
ただし、エアコンのエネルギー消費効率は外気温によって左右されるため、東北や北海道など極寒エリアでは、効率が落ち込んだり十分な暖房能力を発揮できない場合もあります。
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極寒エリアなら石油ストーブが最も効率的
エネルギー別に比較すると、暖房器具にとって最も効率的なエネルギーが灯油です。
エアコンのエネルギー消費効率は外気温によって左右されるため、極寒エリアやとても寒い日にはエネルギー消費効率が落ちてしまいますし、外気温が低すぎれば暖房運転自体が出来なくなってしまいます。
極寒エリア用のエアコンには、外気温が低すぎて暖房運転が出来なくなった時のために電気ヒーターも内蔵していますが、電気ヒーターで暖めた空気を吐き出す場合には、普通の電気暖房機器と同じで効率の悪い運転になります。
そのため、北海道などの極寒エリアでは石油ストーブが最も効率的です。
石油ストーブの仲間には石油ファンヒーターなどもありますが、石油ファンヒーターは駆動のために一定の電力が必要な上、平均的に85%程度のエネルギー消費効率に落ちます。
石油ストーブは、電力を使わずに使える(停電時にも使用出来る)上に、部屋全体を暖める能力が高い、極寒エリアに最適な暖房器具と言えます。
ただし、石油ストーブには、エネルギーの枯渇問題や二酸化炭素排出量などの環境問題、灯油を補給したり購入するための手間、灯油独特のにおいがあり定期的な換気が必要などといったデメリットもあります。